世界史を学ぶ人へお勧めの本 その6〜健康とヒトラーと多角的視点〜

こんにちは。

これは世界史だけに限った話ではありませんが、やはり物事は多角的な視点で捉える事が重要ですね。仕事にせよ人間関係にせよ、それまでとは違った視点で見ると、新たな展開が生まれると思います。

今回御紹介するのは、そんな多角的視点の重要性を教えてくれる一冊です。

ナチス
ヒトラー

これらの言葉は日本のみならず、世界各国で一種の禁句にされていますね。
数年前には日本でも、チャップリンヒトラーを風刺した映画の台詞を使ったCMが、不謹慎だと批判を受けました。意味がわかりません。

ヒトラーを批判する台詞がヒトラーを礼賛する事になるから不謹慎だ!」

と批判されたのです。おそらく批判した人は、

ヒトラーと名がつく物は全て駄目だ!」
ヒトラーは完全悪だ!」

という単純明快な考えの持ち主なのでしょう。ある意味、羨ましいですね。
この本は、そういった表面的な知識のみで物事を判断する危険性も教えてくれます。

健康帝国ナチス (草思社文庫)

健康帝国ナチス (草思社文庫)

健康帝国ナチス

健康帝国ナチス



今では、タバコと肺癌が関係している事は常識ですが、それを初めて指摘したのがヒトラー政権でした。

ヒトラーは国民に喫煙が健康に与える危険性を啓蒙し、国を挙げての禁煙運動に取り組みます。また、ガンの早期発見の重要性にいち早く気づき、国民に検査を奨励し、特に子宮ガンなど女性特有のガン患者の場合は、ガンと診断された場合、無料で入院させ治療を受けさせました。

この様に、ヒトラー政権は女性に対し非常に優しく、それも国民から支持された理由なのです。ちなみに、教科書は何故か、これらの事実を記載せず、人体実験やユダヤ人迫害など、ヒトラー政権の負の側面ばかり書いています。非常に偏っているのです。

本書の良い点の一つに、そうした教科書の様な偏りが無いところが挙げられます。健康政策を実施する一方で、その為にどの様な人体実験が行われたかを、客観的に事実のみを記載しているのです。 つまり、この本を読んでナチスを礼賛せよ等という意思は微塵も無く、

「この本に書かれた事実を基に、ナチス政権について考えて下さい」

という意図に溢れています。

また、訳が非常に良いです。単なる翻訳ではなく、当時の情勢等もふまえられた訳なので、とても読みやすいのです。翻訳者の方の教養が溢れ出る素晴らしい訳でした。

歴史を学ぶというよりも、教養を深める為にもお勧めしたい一冊です。