歴史物語~十字軍とアルカイダその2~

 こんにちは。

 前回の記事では、十字軍が宗教戦争などではなく、領土拡大を目的とした侵略戦争である事を御説明しました。

 

 今回は、十字軍を始めたヨーロッパの人々が、何処の土地を狙っていたのか。そしてそれが、イスラム世界との対立を深めていく様を見ていきましょう。

 

 前回の記事で、10世紀から11世紀にかけ、農業が活発化事を御紹介しました。これを、中世農業革命と言います。

 農業が活発化した結果、多くの余剰品が発生した西ヨーロッパの人々は、それを販売

することで商業活動も活発化します。ヨーロッパ内部で商業が活発化すると、

 

ヨーロッパの商人達は、今度は海外貿易を目指すようになります。当時、ヨーロッパの貿易相手といえばアジアです。人々の間で、アジアとの貿易を目指す声が高まります。しかし、それには大きな問題がありました。

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 上の図を見て下さい(私の拙いお手製地図で恐縮ですが・・・) 

 当時、アジアとの貿易ルートは、陸を通るシルクロードと、インド洋からマラッカ海峡を使う海の道の二つです。

 シルクロード東ローマ帝国を通さないと貿易が出来ません。必然的に、西ヨーロッパの人々が自ら主導権を握りアジアとの貿易を拡大しようとしたら、海の道を開拓する必要があります。つまり、地中海に進出する事が必要なのです。しかし、地中海はイスラム教徒の支配下にありました。

 14世紀のイスラム世界の歴史学者であるイブン=ハルドゥーンは、その著書『世界史序説』の中で、この様に述べています。 

 「十字軍以前、キリスト教徒は地中海に、板切れ一枚浮かべられなかった。」

 この言葉からもわかるように、十字軍遠征以前、地中海の制海権イスラム教徒が掌握していたのです。これは、西ヨーロッパの人々にとって致命的でした。

 西ヨーロッパの商人がアジアと貿易をするためには、なんとしても地中海の制海権を確保しなければなりません。しかし、地中海はイスラム教徒に支配されています。そこで、地中海をイスラム教徒から奪い、貿易ルートを確保する必要があったのです。また、シルクロード貿易をするなら、中東地域をイスラム世界から奪えば、貿易の主導権を握る事が出来ます。

 ここまで読んでもらえれば、十字軍遠征が「中東地域の領土や地中海制海権を求めた侵略戦争であった」という事がわかると思います。当然ですが、侵略を受けた側は怒りますよね。

 以前、イスラム国が日本人を人質とした事件の際に、安倍首相に対し「日本は十字軍に参加した」と発言しました。この言葉からもわかるように、イスラム世界の人々は十字軍遠征に対し、今でも悪感情を抱いているのです。

 とりあえず今回はここまでにし、次回は、十字軍がヨーロッパやイスラム世界に、どの様な結果をもたらしたかについて書きたいと思います。