歴史物語〜キリスト教と世界遺産その3〜大航海時代が人種差別の原点さ!

こんにちは。

日本はいつから東南アジアの仲間入りをしたのかと思うほど、暑いですね。こう暑いと、海にでも行きたくなりますが、夏が繁忙期の予備校講師には、叶わぬ夢です。せめてもの抵抗として、海、即ち大航海時代こそが、人種差別の原点とも言えるんだという事を、今回は御説明したいと思います。

前回の記事では宗教改革の結果、財政難に陥ったカトリック財政再建の為、海外に進出し現地の人々を奴隷としていた事を御説明しました。
今回は大航海時代における各国の活動を見てみましょう。
結論から言うと、ヨーロッパ諸国が非白人種を奴隷とするのを、カトリックは止めないどころか推奨していました。
思い出して下さい。カトリックでは、収入の10分の1を寄付とします。すると、例えばある国が植民地を拡大し潤えば潤うほど、その国からの寄付が増え、カトリックも潤うのです。

具体例として、大航海時代のスペインやポルトガルを見てみましょう。

16世紀、ポルトガルがアフリカやインドを経由してアジア進出を目指した事を皮切りに、ヨーロッパは大航海時代に突入します。

領土拡大を進めるポルトガルに対抗するため、スペインはアメリカ大陸へと進出し、現在のボリビアに大規模な銀山を発見しました。当然ですが、銀を採掘する為には多くの労働力が必要です。しかし、スペインからボリビアまで労働者を移送し、さらに現地に彼らの住居を作るのはかなりのコストがかかります。そこでスペインは、現地の住民を奴隷とする事を思いつきました。

スペイン国王は征服者に対し、原住民にキリスト教を広めれば、原住民を奴隷として扱って良いという布告をしました。これをエンコミエンダ制と言います。キリスト教徒を保護するという名目のもと、原住民を奴隷とし銀採掘の為の労働力としたのです。この制度のもと、多くの原住民の命が奪われました。カリブ海周辺では、300万人いた原住民が30年間で10万人まで減ったほどです。如何に、非人道的な扱いをされたかが想像出来ますね。

一方、アジアに進出したポルトガルも、各地で原住民を奴隷としていました。彼らの目的は香辛料です。15世紀、ヨーロッパで肉食の習慣が広まった事から、香辛料、とりわけ胡椒の需要が高まり、胡椒の産地である東南アジアを目指しました。インドに植民地を築き、そこを拠点に現在のインドネシアを征服したのです。ここでも彼等は、労働力を確保したり、また他国に売り飛ばす目的で原住民を奴隷とします。

この様にスペインもポルトガルも、非白人や非キリスト教徒を人間とはみなしませんでした。しかし、それは当時の欧米諸国では当然だったのです。そして、スペインやポルトガルが原住民を奴隷としていた事を、キリスト教の頂点に立つローマ教皇も認めていました。

おかしいですよね。キリスト教は神の隣人愛を謳っています。つまり、人類は皆兄弟と主張しているはずです。結論から言えば、これらは嘘八百と言えるでしょう。

15世紀半ば、時のローマ教皇ニコラス5世は、ポルトガルに異教徒を奴隷にする権利を付与しました。少し長くなりますが、この教皇の布告を引用してみましょう。

「神の僕の僕である司教ニコラスは、永久に記憶されることを期待して、以下の教書を送る。(途中略)
 以上に記した凡ゆる要件を熟慮した上で、我等は、前回の書簡によって、アルフォンソ国王に、サラセン人と異教徒、並びに、キリストに敵対するいかなる者をも、襲い、攻撃し、敗北させ、屈服させた上で、彼等の王国、公領、公国、主権、支配、動産、不動産を問わず凡ゆる所有物を奪取し、その住民を終身奴隷に貶めるための、完全かつ制約なき権利を授与した。」
(『カトリック教会と奴隷貿易』p.76-77)

如何でしょうか。同様の布告はこの後、各国に出されます。キリスト教の長であるローマ教皇が、「キリスト教以外の宗教を信仰する者は人間ではない。奴らの国を滅ぼし財産を根こそぎ奪い、生き残った連中を奴隷として死ぬまで働かせろ!」と言っているのです。どうやら、神の隣人愛や人類は皆兄弟という発想は、お仲間内だけの言葉遊びだったようですね。
この様な排他的で人身売買を当然と考える勢力を、放置する国家があるでしょうか。秀吉や江戸幕府の時代にキリスト教が弾圧されたのは、当然の結果だったのです。しかし、現在の教科書は日本が純粋無垢なキリスト教を無慈悲に弾圧したと、まるで日本が悪であるかのような書き方をしています。何故でしょう。不思議ですね。

この様にキリスト教やヨーロッパ諸国の歴史を学んだうえで、キリスト教関連の遺跡を訪れると、学校で習った歴史とは違った視点で歴史を学ぶ事が出来ますし、今後の国際社会を生きる中高生にこそ、幅広い視野を持つ為に、学校の歴史教育以外の歴史観を持ってもらいたいものです。